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顧問税理士に不満があるときにまず取るべき行動

「返事が遅い」「提案がない」「担当が何度も変わる」——顧問税理士に対して思うところはあるけれど、変えるほどのことなのかは分からない。そのまま何年も過ごしている方は、決して少なくありません。

結論から言うと、まず伝えてみるべきことと、伝えても変わりにくいことがあります。その見分け方を、顧問を引き継ぐ側の税理士としてお話しします。

1. 多くの不満は、実は相手に届いていない

私は顧問を引き継ぐとき、前の事務所への不満をうかがいますが、そこで必ず次のことを確認します。「そのご不満を、いまの先生(ご担当者)にお伝えになっていますか?」

すると、次のような答えが返ってくることが少なくありません。「いえ、まだ言っていません」

その理由をお伺いすると、これもよく似たお答えが返ってくることが多いです。「忙しそうで言い出しにくかった」「専門的なことだから、そういうものかと思っていた」「クレームだと受け取られたくなかった」。

つまり多くの場合、相手は不満に気づいていません。顧問があなたの不満に気づいていない以上、状況が自ずから改善することは起こりにくいです。相手に不満を伝えることをせずに、「相性が合わないから変える」ことを実行に移してしまうと、変えた先でも同じことが起きることもあるでしょう。

2. 「伝えれば解決すること」の見分け方

次のようなことは、あなたの要求を正直に伝えることで改善する可能性が高いと言えます。

これらに共通するのは、原因が「相手のやる気」ではなく「認識のズレ」だという点です。ズレは、口に出せば表に現れますし、表に現れれば、埋めることもできます。

言い方のコツ ― 「不満」ではなく「お願い」の形にする

「返事が遅くて困っています」と言えば、相手は身構えます。かわりに例えば、「質問に対する、返信期限の目安を決めさせてもらえませんか。通常は1営業日以内、急ぎのときは今日中、16時まで、など、という形で」と切り出すと、応じてもらいやすくなります。過去を責めるのではなく、これからのルールを一緒に決める。それだけで通りやすさが変わります。

3. 一方で「伝えても変わりにくいこと」もある

ただし、要求しても解決しにくいこともあります。代表的なのは次の2つです。

(1)その人に、判断する立場がない場合

日々やりとりしている担当者が、その場で判断する権限も、最終的な責任を引き受ける立場も持っていない——このとき、どれだけ丁寧に伝えても、「確認します」という一言しか返ってこないことがあります。

これは担当者の怠慢ではありません。役割分担がそう決まっているだけです。申告書に署名し最終的な責任を負うのは、資格を持つ人に限られます。責任を負う人が現場に出てこない体制であれば、担当者が誰に替わっても構図は変わりません。

(2)そもそも契約の範囲外である場合

「経営の相談に乗ってほしい」「資金繰りの提案がほしい」という要望は自然なものですが、契約内容が記帳と申告のみであれば、その要求は範囲外として応じてもらえないこともあります。

この場合、相手に落ち度はありません。必要なのは、契約内容を見直すか、その範囲を担える相手を探すかという判断です。ここを「やってくれない」という不満に転換してしまうと、話がこじれてしまいます。最初の契約時に、どこまでの業務や相談をフォローしてもらえるか、を相手とすり合わせておくことが第一に重要なのは、言うまでもないでしょう。

4. 判断の分かれ目は「二度目」にある

では、どこで見切りをつければよいのか。ひとつの目安をお伝えします。

同じことを二度伝えても変わらないなら、それは意思の問題ではなく、体制の問題である可能性が高い

一度目で変わらないのは珍しくありません。忙しかった、優先度が低かった、対応がうっかり漏れていた——理由はいくらでもあります。

しかし二度伝えても同じなら、「やらない」のではなく「できない」と考えたほうが自然です。できないことに期待し続けるのは、お互いに精神の消耗が生じます。

逆に言えば、一度伝えて改善されたなら、変える必要はありません。相性の問題ではなく、単に要求が届いていなかっただけです。

5. それでも言いにくい、というとき

「理屈は分かるけれど、やはり言いにくい」——これも、とてもよくうかがいます。長く付き合っているほど、紹介で始まった関係であるほど、「こんなことを言ったら悪く思われるのではないか」と不安になり、要求を正直に伝えにくいと感じることもあるでしょう。

そういうときは、第三者に一度整理してもらうという方法もあります。何が認識のズレで、何が体制の問題なのか。それが分かるだけで、伝えるべきことがはっきりし、言葉にしやすくなります。

私たちがご相談をお受けするときも、結果として「今の顧問に、こう伝えてみてはどうでしょう」という助言だけで終わることがあります。いまの顧問に率直な要求を伝えて解決するなら、それもまた望ましい結末と言えます。乗り換えは目的ではなく、いまの環境を改善するための、選択肢のひとつにすぎません。

まとめ ― 迷いを抱えたまま、何年も過ごさない

整理すると、判断の順序はこうなります。

  1. まず率直に要求を伝える。多くの不満は、そもそも相手に届いていない
  2. 「お願い」の形で伝える。過去を責めず、これからのルールを決める
  3. 二度伝えても変わらないなら、体制の問題を疑う
  4. 要求が契約の範囲外なら、契約を巻きなおすか、対応してくれる相手を探す

いちばん避けたいのは、モヤモヤを抱えたまま何年も過ごしてしまうことです。伝えれば解決するかもしれないことを言わないまま我慢するのも、体制上どうにもならないことに期待し続けるのも、時間の使い方としてもったいないと思います。

まずは、いま感じていることを言葉にするところから始めてみてください。

よくある質問

顧問税理士への不満は、伝えてもいいのでしょうか?

伝えて構いません。多くの税理士は、改善の機会があればそれを望みます。言いにくい場合は「不満」ではなく「お願い」の形にすると伝えやすくなります。たとえば「回答が遅い」ではなく「返信期限の目安を決めさせてもらえませんか」と切り出す方法です。

伝えても解決しないのは、どんなときですか?

日々やりとりする担当者に、その場で判断する権限や最終的な責任を引き受ける立場がない場合、担当者個人の努力では変わらないことがあります。また、経営の相談や資金繰りの提案などが、契約の範囲に含まれていない場合、それらを要求するだけでは解決しにくいでしょう。

一度伝えて改善されなかったら、変えるべきですか?

一度で判断する必要はありません。ただし、同じことを二度伝えても変わらない場合は、意思の問題ではなく体制の問題である可能性が高くなります。その段階で初めて、顧問の変更を具体的に検討する価値があります。

まずはお気軽にご相談ください

ヒアリングとご提供いただいた資料をもとに、いまの状況を一緒に整理します。今の顧問のままで問題がなければ、その旨を率直にお伝えします。「こう伝えてみては」という助言だけで終わることもあります。セカンドオピニオンだけでも構いません。

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